NOSユーザー会
東日本ユーザー会
東日本大震災から考えるソーシャルメディアの可能性
企業のワークスタイルは、日々変化しています。BCP対策としての在宅勤務の導入や、スマートデバイスの普及、また高速モバイル通信が拡充したことにより、オフィスだけではなく、自宅でも外出先でも、どこにいても業務を継続できることが求められています。
去る4/27、NOS本社で開催された「BCP/BCM対策セミナー」の締めくくりは、3月11日に発生した東日本大震災を契機として、復興と創造を主導しているソーシャルメディアの可能性と、新しい働き方について解説します。

【3/11、東京ビッグサイトから帰宅できなくなった人々。遠くは炎上する市原
製油所の黒煙。(当社社員撮影)】
1.「3.11」その日、何が起こっていたのか
東日本大震災において、甚大な被害を受けた東北地方。3月11日14時46分、東京都中央区箱崎町の当社オフィス(リバーサイドビル12階・14階)、も激しい揺れに襲われました。
幸い社員は全員無事でしたが、この日の業務続行は難しいとの判断から、全員速やかに退社するよう指示を出しました。しかし結局その日は、JRをはじめ首都圏の交通網が寸断されたなか、想像をはるかに超える11万人以上(3/12警視庁発表)もの帰宅困難者が発生する事態となり、日付が変わった翌日も、その混乱が解消することはありませんでした。
災害時に、何よりも優先させなければならないのは人命です。そこでもっとも重要なポイントになってくるのが、コミュニケーションと情報共有です。これ無しには避難も救助活動も成り立ちません。
今回の震災が、16年前の阪神淡路大震災と大きく違った点といえば、ケタ違いの被害もさることながら、やはりすでに社会的な情報インフラとして定着した感もある、インターネットの存在ではないでしょうか。とくに、混乱の中でも存在感を放ったのがTwitterです。1回140文字以内という制限が逆に幸いし、通信回線をあまり圧迫せずに、多くの人が利用して、家族や同僚の安否を確認し合うことができました。
これまでTwitterは、予告なく機能停止することがしばしばありましたが、明らかに負荷が高くなっているはずなのに、今回はほとんど止まっていません。2001年、同時多発テロを契機として、米国でインターネットの堅牢さや速報性が認知されたように、日本においても今回の大震災を機に、クラウドとスマートフォン等のスマート端末の活用が拡大し、併せてソーシャルメディアの有用性にも注目する人が増えてきているようです。(図1)

2.ソーシャルメディアの可能性 〜震災後にネットワークの世界に触れた事〜
東京において、携帯電話による通話は途絶したものの、メールやTwitterは辛うじてつながり、大量の「帰宅難民」が一時的には発生したにもかかわらず、パニックに陥ることはありませんでした。
さらに、今回の震災ではインターネットやクラウドが、コミュニケーションと情報共有において大きな役割を果たし、それは自発的な救援、復旧の大きな輪を作るのに貢献しました。
しかしその一方で、SNSなどのネットワークが、根拠のない誤った情報を伝播させ、風評被害の原因になったのも事実です。瞬時に多数に情報が伝わる特性を理解し、いわゆるデマや誤報を見分ける、冷静な判断と対応を心がけたいものです。
【 震災時にネットの世界で起こった事例 】
- 災害支援サイトの自発的な立ち上げ(図2)
- 災害地サイトのミラーサイトの構築 (図3)
- ITベンダーによるクラウドリソースの無償提供
- NHKや民放テレビのUstream配信
- 官公庁や自治体などの当事者がTwitterで発信を行うことで、有益な情報をフィルター
- 利用者によるコラボレーション(図4)



3.リモートオフィス、節電 〜見直し広がる「働き方」〜
震災直後、味の素様社内の一部では、大災害によって通常業務を滞らせないために、社員全員にFacebookを使うことを促しました。Facebookの企業利用といえば、消費者のクチコミを誘発して自社商品の販促につなげる、マーケティングでの活用が主流ですが、同社ではFacebookが持つ「グループ」機能に着目し、社内の情報共有のツールとして活用しました。
グループの管理者が承認した、特定のメンバーしか投稿内容を見られない“クローズされた場”をFacebook上に作り、会社にいなくても会議を可能にしたのです。これにより、非常時に限らず平常時から「競合製品について、自社より優れている点を挙げてください」といったテーマを立てて、グループに参加するメンバーが意見を出して議論できるようにしました。
今回の東日本大震災の直後、安全面や電力不足による交通の混乱を避けるため、自宅待機や在宅勤務とした企業も多くなっています(図5)。Facebookを活用すると、グループのメンバーが投稿するだけで、安否確認もできます。これからの展望について担当者は、「今後の危機管理のあり方を考える上でも、ネットやソーシャルメディアの役割は、さらに高まっていく」と語っています。

4.震災後のネット利用拡大から見えてきたトレンド
このように、災害時に不可欠なコミュニケーションと情報共有においては、情報の置き場所となるクラウドと、それら情報を活用するデバイスで構成されている「ネットワーク上の新メディア」が、きわめて重要な役割を果たします。
先にご紹介した、震災時の救援・復旧の現場で起こった事例からも、クラウドは既存の業務との互換性から代替リソースとしての活用、社内コミュニケーション/コラボレーションのような非基幹業務領域での利用、災害時の追加リソースとしての利用など、企業におけるBCP対策の一環としても重要な役割を果たすものであるといえます。
さらに、現代のインターネットやクラウド上で提供されているサービスのほとんどが、オープン化(オープンソースでなくてもAPIが公開)されていることから、企業や個人で今後さらなる活用が加速し、コミュニケーションと情報共有、そしてインターネットのビジネス利用を、さらに新しい段階に押し上げると考えられるでしょう。
(解説:営業統括 Web コラボレーション担当・柳田信子)